多孔質膜形成用組成物、 多孔質膜とその製造方法、 層間絶縁膜及び半導体装置
技 分野 本発明は、 誘電特性、 密着性、 塗膜の均一性、 機械強度に優れ、 吸湿性を低減 化した多孔質膜を形成しうる膜形成用組成物、 多孔質膜の製造方法と製造された 多孔質膜、 及び多孔質膜を内蔵する半導体装置に関する。 背景技術
ミセル存在下でシリカ前駆体を加水分解縮重合させて製造される多孔質シリカ 材料は、 ナノメーターサイズで狭い細孔分布を有し、 規則性の高い構造と、 多孔 質材料としては極めて高い機械強度を持つことが注目され、 各種触媒の担体等へ の応用が検討されている。 .
この多孔質シリカ材料は、 一般に極めて高い吸湿性を示し、 比較的低い相対蒸 気圧でも高い水蒸気吸着能を示すことから、 吸湿剤としての応用が報告されてい る (特開 2 0 0 1— 1 5 7 8 1 5号公報〉 。 しかしながら、 低誘電率材料への応 用に関しては、 このような吸湿性は誘電率上昇に直結し、 これへの対策が急務と なっていた。
これまで報告されている吸湿防止方法としては、 シリカ多孔質体を形成した後 、 直ちに表面を防湿コーティングする方法や、 シリカ多孔質体を形成した後、 例 えばへキサメチルジシラザンなどのシリル化剤を作用させることにより、 表面に トリメチルシリル基を導入し、 疎水性を高めるなどの方法が提案されている。
これらの方法によりシリカ膜への吸湿は防止できるが、 いずれもシリカ膜を形 成する工程の後、 直ちに^れらの処理を行う必要があり、 工程が複雑になるほか 、 これら工程間の雰囲気の調整や保管の方法など、 煩雑な操作が必要であった。 また、 特にへキサメチルジシラザンを用いる疎水化の方法は、 ァミンの残留に よる次工程への影響が懸念され、 これらの疎水化処理を必要としない疎水性の多 孔質シリカ膜を得る方法が求められていた。
また、 S a n d r a L . B u r k e t tらは、 テトラエトキシシラン中に フエニルトリエトキシシランや n—ォクチルトリエトキシシランを含有した組成 物をアンモニゥム塩ミセル存在下で加水分解する方法により、 疎水化されたシリ 力のバルタ体の製造を提案している。 しかし、 より大きな疎水性が期待できる n-ォクチル体は塩酸含有エタノール洗浄によるァンモニゥム塩を取り除く際に形 状が維持できないとし (J . C h e m. S o c . , C h e m. C o mm u n . , 1 9 9 6, 1 3 6 7 ) 、 フエニル体に関してもその含有率が 1 0重量0 /0、 2 0重 量%と大きく、 表面のみの疎水化というよりシリカ自体の疎水性を変化させたと 考えられる。
以上のように、 シリカ多孔体の吸湿防止は非常に困難である。 シリカ多孔体か らなる多孔質膜を半導体装置の多層配線の絶縁膜として使用する際に、 多孔質膜 が吸湿することにより比誘電率が増大し、 膜を積層する際の密着性が低下する等 の問題があった。 絶縁膜としての多孔質膜の誘電率増大は、 半導体装置の多層配 線における R C遅延の増大をもたらし、 半導体装置の性能 (高速、 低消費電力) の向上が図れないという大きな問題があった。 さらに、 従来の多孔質膜を半導体 装置の多層配線に絶縁膜として組み込んだ場合に機械強度が得られないという問 題を有していた。 この機械強度の弱さは、 )!莫そのもの特性に由来するものである 。 したがって、 絶縁膜として使用される多孔質膜の機械強度の弱さが半導体装置 の信頼性を低下させるという問題があった。 発明の開示
本発明は、 誘電特性、 密着性、 塗膜の均一性、 機械強度に優れ、 吸湿性を低減 化した多孔質膜を形成しうる膜形成用組成物、 多孔質膜の製造方法及び製造され
た多孔質膜を提供することを目的とする。 また、 本発明は、 この多孔質膜を内蔵 する高性能かつ高信頼性を備えた半導体装置を提供することを目的とする。 本発明者らは、 従来の検討からシリ力系の多孔質膜はシリカ前駆体とミセルを 形成しうる界面活性剤の相互作用に着目した。 図 1に示すように、 ミセル中心部 は疎水性部分を有する。 この疎水性部分に溶解しやすい、 長鎖アルキル基を含有 する加水分解性ケィ素化合物をこのようなミセルに添加することにより、 該長鎖 アルキル基含有ケィ素原子が、 ミセル近傍に局在化する。 これを加水分解、 縮合 することにより固定化する。 さらに、 焼成などによりミセルを形成する界面活性 剤を除去することにより空孔が形成される。 空孔表面には、 該長鎖アルキル基含 有ケィ素原子が高濃度で存在する。 これらに基づき、 本発明を完成するに至った 即ち、 本発明は、 界面活性剤と、 該界面活性剤の存在下で下記一般式 (1 ) で 表される一以上のアルコキシシランと一般式 ( 2 ) で表される一以上のアルコキ シシ'ランとを加水分解縮合して得られる重合体を含む溶液とを含んでなる多孔質 膜形成用組成物を提供する。
(R1)^ i (O R2)4-m ( 1 )
R3 S i (R4) n(O R5) 3_n ( 2 )
(上式中、 R1は置換又は非置換の 1価炭化水素基であり、 R1が複数含まれる場 合には、 各々独立して互いに同じでも異なってもよく、 R2は炭素数 1〜4のァ ルキル基であり、 R2が複数含まれる場合には、 各々独立して互いに同じでも異 なってもよく、 R¾炭素数 8 ~ 3 0の直鎮又は分岐状アルキル基、 R4は置換又 は非置換の 1価炭化水素基であり、 R4が複数含まれる場合には、 各々独立して 互いに同じでも異なってもよく、 R5は炭素数 1〜4のアルキル基であり、 R5が 複数含まれる場合には、 各々独立して互いに同じでも異なってもよく、 mは 0 ~ 3の整数、 nは 0〜2の整数である。 )
また、 本発明は、 この多孔質膜形成用組成物を塗布する塗布工程と、 その後の 乾燥工程と、 得られた膜から上記界面活性剤を除去する多孔質化工程とを含む多 孔質膜の製造方法を提供する。 さらに、 本発明は、 この多孔質膜形成用組成物を 用いて得られる多孔質膜を提供する。
本発明によれば、 高価な長鎖アルキノ 有成分の使用量を低減化し、 一方膜強 度を保つのに必須なテトラアルコキシシラン成分の含有率を高く保ち、 しかも強 度的には悪影響を及ぼすと予想される長鎖アルキノ I ^有成分を表面に局在化させ ることにより、 基本骨格はテトラアルコキシシラン由来の強度を維持できる。 本発明の半導体装置は、 界面活性剤と、 該界面活性剤の存在下で下記一般式 ( 1) で表されるアルコキシシランの一以上と一般式 (2) で表されるアルコキシ シランのー以上を加水分解縮合して得られる重合体を含む溶液とを含んでなる多 孔質)!莫形成用糸且成物を用いて形成された多孔質を内部に備えている。 具体的には 、 多層配線の絶縁膜として前記多孔質膜が使用される。
(R1)^ i (OR2)4.m (1)
R3S i (R4)n(OR — n (2)
(上式中、 R1は置換又は非置換の 1価炭化水素基であり、 R1が複数含まれる場 合には、 各々独立して互いに同じでも異なってもよく、 R2は炭素数 1〜4のァ ルキル基であり、 R2が複数含まれる場合には、 各々独立して互いに同じでも異 なってもよく、 R3は炭素数 8〜 30の直鎖又は分岐状アルキル基、 R4は置換又 は非置換の 1価炭化水素基であり、 R4が複数含まれる場合には、 各々独立して 互いに同じでも異なってもよく、 R5は炭素数 1~4のアルキル基であり、 が 複数含まれる場合には、 各々独立して互いに同じでも異なってもよく、 mは 0〜 3の整数、 nは 0〜2の整数である。 )
上記界面活性剤が、 400°C以下の加熱により分解又は蒸発又は昇華する化合 物であることが好ましい。
上記一般式 (1) で表される一以上のアルコキシシラン 10◦重量部に対して 、 上記一般式 (2) で表される一以上のアルコキシシランが 0. 01〜10重量 部であるとよい。
上記一般式 (1) で表される一以上のアルコキシシランが、 テトラアルコキシ シランを含む複数の化合物であり、 該一般式 (1) で表されるアルコキシシラン 中に、 該テトラアルコキシシランが 10重量%以上であることが好ましい。
更に、 常温では中性であるが、 80 ~ 200°Cの加熱により酸又はアル力リを 発生する化合物を含有することが好ましい。
本発明の半導体装置によれば、 多孔質膜の機械強度を確保した上で吸湿性が低 減されるため低誘電率の絶縁膜を内蔵した半導体装置が実現される。 絶縁膜の低 誘電率化により、 多層配線の周囲の寄生容量は低減され、 半導体装置の高速動作 及び低消費電力動作が達成される。
また、 本発明の半導体装置において、 多層配線の同一層の金属配線間絶縁膜、 又は上下金属配線層の層間絶縁膜に、 多孔質膜が存在することが好ましい。 この ようにすると、 高性能力つ高信頼性を備えた半導体装置が実現される。
図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の多孔質膜形成用,袓成物の一例に関し、 各成分の相互作用を示 す模式図である。
図 2は、 本発明の半導体装置の一例の概略断面図である。
発明を実施するための最良の形態
本発明に用いられる一般式 (1 ) のシラン化合物において、 R1は置換基を有 してもよい 1価の炭化水素であり、 好ましくは置換基を有してもよい炭素数 1〜 7の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はァリ一ル基を表し、 置換基を有するこ とができる。 具体例としては、 メチル基、 ェチル基、 プロピル基、 イソプロピル 基、 プチゾレ基、 イソブチル基、 s e c—プチノレ基、 t e r t一プチノレ基、 ペンチ ル基、 s e c一ペンチル基、 ネオペンチル基、 へキシル基、 ヘプチル基、 フエ二 ル基、 o—トリル基、 m—トリル基、 p—トリル基、 ベンジル基などが挙げられ る。
一般式 (1 ) 中、 R2は、 炭素数 1〜4のアルキル基である。 具体例としては 、 メチル基、 ェチル基、 プロピル基、 イソプロピル基、 プチル基などが挙げられ る。 一般式 (1 ) 中、 mは 0〜3の整数であり、 m= 0の場合は、 テトラアルコ キシシランとなる。
一般式 ( 1 ) のシラン化合物の例としては、 テトラメ トキシシラン、 テトラエ トキシシラン、 テトラプロボキシシラン、 テトラブトキシシラン、 メチルトリメ トキシシラン、 メチルトリエトキシシラン、 メチルトリプロポキシシラン、 ェチ ルト''リメ トキシシラン、 プロピルトリメ トキシシラン、 プチノレトリメ トキシシラ ン、 ペンチルドリメ トキシシラン、 へキシルトリメ トキシシラン、 2—ェチルへ キシルトリメ トキシシラン、 フエニルトリメ トキシシラン、 ジメチルジメトキシ シラン、 ジメチルジェトキシシラン、 トリメチルメ トキシシラン、 トリェチルメ トキシシラン、 ブチルジメチルメ トキシシラン等が挙げられるが、 これらに限定 されるものではない。
本発明に用いられる一般式 (2 ) のシラン化合物において、 R3は炭素数 8 ~ 3 0の直鎖又は分岐状アルキル基である。 R3の具体例としては、 n—オタチ 基、 n—デシル基、 n—ドデシル基 (ラウリル基) 、 n—テトラデシル基 (ミリ スチノレ基) 、 n—へキサデシル基 (セチル基) 、 n—ォクタデシル基 (ステアリ ゾレ基) 、 1—へキシノレ一へキシ /レ基、 4 _へキシルーシクロへキシノレ基、 3—へ キシル一 1—ノルボルエル基、 n—トリアコンチル基、 n—アイコサニル基等が 挙げられる。
本発明に用いられる一般式 (2 ) のシラン化合物において、 R4は置換基を有 してもよい 1価の炭化水素であり、 好ましくは置換基を有してもょレ、炭素数 1〜 7の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はァリ一ル基を表し、 置換基を有するこ とができる。 具体例としては、 一般式 ( 1 ) の R1の例と同様なものが挙げられ る。
一般式 (2 ) 中、 R5は、 炭素数 1〜4のアルキル基である。 具体例としては 、 メチル基、 ェチル基、 プロピル基、 イソプロピル基、 プチル基などが挙げられ る。 一般式 (2 ) 中、 nは 0〜2の整数である。
一般式 ( 2 ) のシラン化合物の例としては、 ォクチルトリメ トキシシラン、 n 一デシノレトリメ トキシシラン、 n—ドデシノレトリメ トキシシラン、 n—テトラデ シノレトリメ トキシシラン、 n—へキサデシルトリメトキシシラン、 n—ォクタデ シノレトリメ トキシシラン、 1一へキシルーへキシルトリエトキシシラン、 4一へ キシルーシク口へキシルトリメ トキシシラン、 3一へキシルー 1ーノノレボノレニノレ トリメ トキシシラン、 n—トリアコンチルトリメ トキシシラン、 n—アイコサニ ルトリメ トキシシラン、 n—ドデシノレメチルジメ トキシシラン、 n—テトラデシ ルメチルジメ トキシシラン、 n—へキサデシルメチルジメ トキシシラン、 n—才 クタデシルメチルジメ トキシシラン等が挙げられるが、 これらに限定されるもの ではない。
一般式 ( 1 ) と (2 ) のシラン化合物は、 加水分解縮合して重合体溶液とする 。 これらシラン化合物は、 好ましくは、 酸を触媒として酸性条件下、 又は塩基を 触媒として塩基性条件下、 水の存在下加水分解縮合して重合体溶液とする。 その 際に用いられる酸としては、 塩酸、 硫酸、 硝酸等の無機酸、 メタンスルホン酸、 ベンゼンスノレホン酸、 p—トルエンスルホン酸、 トリフルォロメタンスルホン酸 などのスルホン酸、 ギ酸、 酢酸、 プロピオン酸、 シユウ酸、 マロン酸、 フマル酸 、 マレイン酸、 酒石酸、 クェン酸、 リンゴ酸などの有機酸及びリン酸等が挙げら れる。 また、 その際に用いられる塩基としては、 アンモユア、 トリェチルァミン 、 ォクチ/レアミン、 ピリジン、 ァニリン、 ピロール等が挙げられる。 加水分解の ための水は、 好ましくは、 シラン化合物を完全に加水分解するために必要なモル 数の 0 . 5〜1 0倍量、 より好ましくは 1 . 0〜4 . 0倍量が用いられる。 なお 、 一般式 (1 ) と (2 ) のシラン化合物を加水分解縮合して重合体溶液とする場 合、 水以外にもシラン化合物のアルコキシ基に対応するアルコールや、 アセトン 、 M I B K (メチルイソブチルケトン) 、 1ーブタノール、 シク口へキサノン、 DM F (ジメチルホルムァミ ド) 、 DM S O (ジメチルスルホキシド) 、 NM P (N—メチルピロリ ドン) 、 DMA (N, N—ジメチルァセトアミド) 、 ァセト 二トリル、 テトラヒ ドロフラン、 乳酸ェチノレ、 プロピレンダリコールモノメチノレ エーテノレ、 P GME A (プロピレングリ コーノレメチルエーテルアセテート) 、 M M P (メ トキシメチルプロピオネート) 等の溶媒を含むことができる。 水以外の
溶媒の添加量は、 シラン化合物が完全加水分解/縮合した重量を基準とする N V にして 5〜5 0 %となるように調整される。 なお、 NVは、 (焼成後の重量) / (溶液状態の重量) である。
一般式 (1 ) のアルコキシシラン 1 0 0重量部に対して、 上記一般式 (2 ) の アルコキシシランを好ましくは 0 . 0 1〜1 0重量部添加する。 一般式 (2 ) の アルコキシシランの添加量が 0 . 0 1重量部未満では、 充分な疎水性付与効果が 得られない場合があり、 1 0重量部を超えると焼成後の膜強度の低下を招く場合 があり、 経済的にも好ましくないからである。
一般式 (1 ) のアルコキシシランは、 好ましくはテトラアルコキシシランを含 む複数の化合物であり、 一般式 (1 ) のアルコキシシラン中に、 テトラアルコキ シシランが好ましくは 1 0重量%以上となるように添加することが好ましい。 こ れは、 焼成後の膜強度を充分に保っためである。
本発明に用いる界面活性剤は、 一般式 (1 ) と (2 ) のシラン化合物溶液に添 加され、 溶解されることによってミセルを形成可能なものであれば特に限定しな いが、 好ましくはカチオン性界面活性剤として用いられる第四級アンモニゥム塩 である。 また、 本発明に用いる界面活性剤は、 好ましくは、 4 0 0 °C以下、 好ま しく'は 1 5 0〜4 0 0 °Cの加熱により分解、 蒸発又は昇華等するものである。 第四級アンモニゥム塩は、 好ましくは、 下記一般式 (3 )
R6N+(C H3)3X— ( 3 )
で表されるアルキルトリメチルアンモ -ゥム塩である。 式中、 R6は、 炭素数 8 〜2 0の直鎖又は分岐状アルキル基を表し、 Xは陰イオンを形成可能な原子又は 官能基を表す。 .
第四級アンモ-ゥム塩は、 特に好ましくは、 炭素数が 1 2〜1 8の直鎖状のァ ルキル基を一個有するトリメチルァンモニゥム塩であり、 このようなァンモニゥ ム塩の例としては、 塩ィ匕ドデシルトリメチルアンモ-ゥム、 臭化ドデシルトリメ チルアンモニゥム、 ヨウ化ドデシルトリメチルアンモニゥム、 塩化テトラデシル トリメチルアンモニゥム、 臭化テトラデシルトリメチルアンモニゥム、 ヨウ化テ トラデシルトリメチルアンモニゥム、 塩化へキサデシノレトリメチルアンモニゥム 、 臭化へキサデシルトリメチルアンモニゥム、 3ゥ化へキサデシルトリメチルァ
ンモニゥム、 ギ酸へキサデシルトリメチルアンモニゥム、 酢酸へキサデシルトリ メチルアンモニゥム、 シユウ酸へキサデシルトリメチルアンモニゥム、 トリフル ォロ酢酸へキサデシルトリメチルアンモニゥム、 メタンスルホン酸へキサデシノレ トリメチルアンモニゥム、 トリフルォロメタンスルホン酸へキサデシルトリメチ ルアンモニゥム、 水酸ィ匕へキサデシノレトリメチルアンモニゥム、 塩化ステアリル トリメチルアンモニゥム、 臭化ステアリルトリメチルアンモニゥム等が挙げられ るが、 これらに限定されるものではない。
一般式 (1 ) と (2 ) のシラン化合物溶液に対し第四級アンモニゥム塩は単に 混合し攪拌することで均一に溶解するが、 用いるァンモニゥム塩によつて均一に 溶解しうる最大量は異なるため、 添加量は材料系によって変化する。 通常、 一般 式 ( 1 ) と ( 2 ) のシラン化合物のモル数に対して 0 . 0 1〜 0 . 5モル0 /0であ る。 '
本発明の多孔質膜形成用組成物は、 好ましくは、 更に、 常温では中性であるが 、 8 0〜2 0 0 °Cの加熱により酸又はアル力リを発生する化合物を含有させるこ とができる。 この化合物は、 好ましくは、 イミシ 'スルホネート類、 ォニゥム塩 類、 ジァゾメタン誘導体、 スルホン酸エステル類、 トリアジン誘導体、 ァミンの ォキシカルボニル体等であり、 その機能は、 シラノール、 アルコキシシラン類の 縮合反応促進、 骨格反応である。 この化合物の含有量は、 主成分である一般式 ( 1 ) のシラン化合物の重量に対して、 好ましくは 0 . 0 1〜2 0重量%、 より好 ましくは 0 . 5 ~ 5重量%である。
ィミンスルホネート類、 ォニゥム塩類、 ジァゾメタン誘導体、 スルホン酸エス テル類、 トリァジン誘導体、 ァミンのォキシカルボニル体の具体例を以下に示す
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(2) ォニゥム塩類 (続き)
(4) スルホン酸エステル類
(5) 卜リアジン誘導体
これらシランの加水分解縮合反応は通常の加水分解縮合反応に用いられる条件 下で行われるが、 反応温度としては通常 0 °Cから加水分解縮合によって生成する アル at—ルの沸点の範囲であり、 好ましくは室温から 6 0 °Cである。
反 時問は特に限定されないが、 通常 1 0分から 1 8時間であり、 さらに好ま しくは 3 0分から 3時間程度行われる。
一般式 (1 ) と (2 ) のシラン化合物から得られる重合体の好ましい重量平均 分子量としては、 ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー (G P C) を用いポ リスチレン換算では、 5 0 0〜1 0 , 0 0 0である。
このようにして合成された重合体溶液は、 これ自体としても用いられるが、 さ らに少量の他の成分を含有する状態でも用いることができる。 他の成分の例どし ては、 チタンの酸化物やアルミ二ゥムの酸化物、 ジルコニウムの酸化物等が挙げ られ、 主成分である一般式 (1 ) のシ,ラン化合物の重量に対して好ましくは 0〜 2 0重量%である。
本発明の多孔質膜形成用組成物は、 塗布液として用いることができ、 例えば、 溶質の濃度を制御しかつ適当な回転数を用いてスピン塗布することで、 任意の膜 厚の薄膜が形成可能になる。 実際の膜厚としては、 通常 0 . 1〜 2〃 m程度の膜 厚の薄膜を形成し、 引き続く溶媒を除去するための乾燥工程で処理される。 塗布
方法としては、 :スピンコーティングに限らず、 スキャン塗布、 ディップコート、 バーコート等が用いられる。
このようにして形成された薄膜は、 乾燥工程 (通常、 半導体プロセスでプリべ ークと呼ばれる工程) で、 好ましくは、 8 0〜 2 0 0 °Cに数分加熱することで溶 媒を除去する。
このようにして形成された薄膜は、 多孔質化工程により多孔質化される。 即ち 、 高温で加熱することによって界面活性剤を分解、 蒸発又は昇華等することによ つて除去すると、 除去された界面活性剤が存在した空間が薄膜中の空孔となるか らである。 この温度としては、 界面活性剤が分解、 蒸発又は昇華等するのに +分 な温度であればどのような温度であっても用いることができるが、 好ましくは 1 5 0〜4 0 0 °Cである。
特にミセル形成している界面活性剤を除去する方法として、 加熱焼成により分 解揮発させる工程を用いる場合は、 直鎖又は分岐状のアルキル基の一部が熱処理 により分解揮発することが認められるので、 直鎖又は分岐状アルキル基含有シラ ン成分としては、 ケィ素上にメチル基を同時に含有することがより好ましい。 このように界面活性剤を除去する操作を施した薄膜は、 非常に大きな比表面積 を有し、 通常 2, 0 0 0〜4 , O O O ni2/ gの値が、 窒素ガスの吸着による B E T法による表面積測定 (島津 t r i s t a r 3 0 0 0 ) によって得られる。 こ のことによって、 非常に小さな比誘電率を示す薄膜を形成できる。 本発明の多孔 質膜は、 水銀プローブ法を用いて測定すると、 比誘電率 2 . 5以下を与えること もできる。 また、 この多孔質膜を 2 4時間飽和水蒸気に晒した際の比誘電率の上 昇が 1 . 0以下であり、 これはこの多孔質シリカ膜が、 疎水化され、 水蒸気の吸 着が抑制されていることを示す。
また、 このようにして得られた多孔質膜は、 極めて狭い細孔分布を有し、 通常 1〜3 n mであり、 3 n mを超えて殆ど空孔分布を有しないという特徴を示す。 これは、 窒素ガス吸着法による B E T表面積測定装置 (島津 t r . i s t a r 3 0 0 0 ) を用いて確認できる。
細孔分布の均一さと、 細孔がチャンネル構造を有することから、 このようにし て得られた薄膜は、 膜全体に対する空孔の割合が極めて高いにもかかわらず優れ
た機械強度を有し、 ナノィンデンテーションによる測定でハードネスとして通常
0 . 5〜1 . 5 G P a、 モジュラスとして 5 . 0〜; L 0 G P a程度のものが得ら れる。 これは、 通常シロキサンレジン中に熱分解型ポリマーを添加して、 これを 加熱によって除去し空孔を形成するタイプの多孔質材料では、 ハードネスとして 0 . 0 5〜2 G P a、 モジュラスとして 1 . 0〜4 . O G P a程度しか得られな いことに比較し、 極めて機械強度の大きな薄膜が得られていると言える。
本発明の多孔質膜は、 特に半導体集積回路における配線の層間絶縁膜として好 ましい。 半導体装置は、 高集積化しても配線遅延を引き起こさなくするに、 配線 間容量を小さくすることが必要となる。 これを達成するための種々の手段が考え られている力 金属配線同士の間に形成される層間絶縁膜の比誘電率を低くする こともその一つである。 本発明の多孔質形成用組成物を用いて層問絶縁膜を製造 すると、 半導体装置の微細化と高速化が可能になり、 さらに消費電力も小さく抑 えることが可能になる。
なお、 低誘電率化するために膜に空孔を導入し多孔質とした場合、 膜を構成す る材料の密度が低下するため、 膜の機械的な強度が低下してしまうという問題が ある。 機械的な強度の低下は、 半導体装置の強度自体に影響を及ぼすのみならず 、 製造プロセスにおいて通常用いられる化学的機械研磨のプロセスにおいて充分 な強度を有しないために剥離を引き起こすという問題がある。 特に、 本発明にか 力る多孔質膜を半導体の眉間絶縁膜として用いる場合には、 多孔質膜でありなが ら大きな機械強度を有するためにこのような剥離を引き起こさず、 製造された半 導体装置の信頼性が大幅に改善される。
しかしながらこのような細孔の導入は多孔質膜の表面積を著しく増大させ、 ま た、 膜自体が親水性の高いシリカ質であるために、 多孔質膜表面及び内部への水 分の吸着が起 り、 電気特性に致命的な影響を与える。 これを防止するために、 表面に保護層をもうけたり、 焼成後の膜に対して疎水化処理を施すなどの方法が 採られているが、 いずれも工程が複雑になるほか、 工程間の湿度管理等の煩雑な 管理が必要であり、 本発明による焼成膜は、 多孔質膜の表面のみならず、 細孔内 部についても焼成時に疎水化された表面を形成できるので、 電気特性の安定化に 大きく貢献するとともに、 工程の簡略化にも寄与することができる。
本発明の半導体装置の実施形態について説明する。 図 2は、 本発明の半導体装 置の一例の概念断面図を示す。
図 2において、 基板 1は、 S i基板、 SO I (S i 'オン 'インシユレータ) 基板等の S i 導体基板であるが、 S i G eや G a A s等々の化合物半導体基板 であってもよい。 層間絶縁膜として、 コンタクト層の層間絶縁膜 2と、 配線層の 層間絶縁膜 3、 5、 7、 9、 11、 13、 15、 17と、 ビア層の層間絶縁膜 4 、 6、 8、 10、 12、 14、 16を示す。 最下層の配線層の層間絶縁膜 3から 最上層の配線層の層間絶縁膜 17までの配線層を順に略称で Ml、 M2、 M3、 M4'、 M5、 M6、 M7、 M8と呼ぶ。 最下層のビア層の層間絶縁膜 4から最上 層の配線層の層間絶縁膜 16までのビア層を順に略称で V 1、 V2、 V3、 V4 、 V5、 V6、 V7と呼ぶ。 いくつかの金属配線には 18と 21〜24の番号を 付したが、 番号が省略されていてもこれらと同じ の部分は金属配線を示す。 ビアプラグ 19は、 金属により構成される。 通常、 銅配線の場合には銅が用いら れる。 図中、 番号は省略されていても、 これと同じ の部分はビアプラグを示 している。 コンタクトプラグ 20は、 基板 1の最上面に形成されたトランジスタ (図示外) のゲートあるいは基板へ接続される。 このように、 配線層とビア層は 交互に積み重なつた構成となっており、 一般に、 多層配線とは M 1から上層部分 のことを指す。 通常、 Ml〜M 3をロー力ノレ配線、 M4と M 5を中間配線あるい はセミグ口一ノ ル配線、 M 6〜M 8をグロ一バル配線と呼ぶことが多 、。
本発明の半導体装置は、 配線層の層間絶縁膜 3、 5、 7、 9、 11、 13、 1 5、 17、 及びビア層の眉間絶縁膜 4、 6、 8、 10、 12、 14、 16の少な くとも 1以上の絶縁膜に、 本発明の多孔質膜を用いたものである。
例えば、 配線層 (Ml) の層間絶縁膜 3に本発明の多孔質膜を用いている場合 、 金属配線 21と金属配線 22の間の配線間容量が大きく低減できる。 また、 ビ ァ層 (VI) の層間絶縁膜 4に本発明の多孔質膜を用いている場合、 金属配線 2 3と金属配線 24の間の配線間容量を大きく低減することができる。 このように 、 配線層に本発明の低比誘電率を有する多孔質膜を用いると、 同一層の金属配線 間容量を大きく低減できる。 また、 ビア層に本発明の低比誘電率を有する多孔質 膜を用いると、 上下金属配線の層間容量を大きく低減できる。 したがって、 すべ
ての配線層及びビア層に本発明の多孔質膜を用いることにより、 配線の寄生容量 を大きく低減できる。 本発明の多孔質膜を配線の絶縁膜として使用することによ り、 従来問題となっていた多孔質膜を積層形成して多層配線を形成する際の多孔 質膜の吸湿による誘電率の増大も発生しない。 その結果、 半導体装置の高速動作 及び低消費電力動作が実現される。
また、 本発明の多孔質膜は、 機械強度が強いため、 半導体装置の機械強度が向 上し、 その結果半導体装置の製造上の歩留まりや半導体装置の信頼性を大きく向 上させることができる。 以下、 実施例及び比較例を示し、 本発明を具体的に説明するが、 本発明は下記 の実施例に制限されるものではない。
実施例 1〜 3
5 O m lのフラスコ中、 テトラメ トキシシラン 1 5 . 2 2 gに対して加水分解 当量の 2倍量にあたる水 4 gと 2規定の塩酸水 0 . l m lを用いて加水分解し、 重量平均分子量 1 4 5 0のシリカ前駆体を得た。 なお、 重量平均分子量は、 G P Cを用い、 ポリスチレン換算による。
得られたシリカ前駆体溶液に、 表 1に示す各種長鎖アルキル基含有トリアルコ キシシランと各種界面活性剤を添加し、 さらに溶剤 (M I B K) で希釈して N V 2 0 %の溶液を得た。 なお、 NVは、 (焼成後の重量) / (溶液状態の重量) で める。
得られた各組成物を塗布液として用い、 シリコンウェハー上にスピン塗布後、 風乾した。 さらに 1 0 0 °Cで 1分加熱し、 溶剤の除去を行つた後、 1 7 0 °Cで 1 分加熱し、 シリカ骨格の形成を行った。 次いで 2 5 0 °Cで 1 0分加熱し、 界面活 性剤の分解除去を行った。 さらに窒素気流中で 4 0 0 °C 1時間焼成を行うことに より分解残渣の除去と焼成膜の熟成を行った。
次に、 得られた膜の評価を行った。 残膜率は、 プレベータ (溶媒を除去するた めの乾燥工程) 後の膜厚を 1 0 0 %としたときの、 焼成によりミセル形成性物質 を除去した後の膜厚であり、 膜厚の測定にはエリプリメーターを用いた。 比誘電 率は、 焼成直後の膜と焼成から 2 4時間経過後の膜に対して水銀プローブを用い
て測定した。 ハードネスとモジュラスは、 焼成から 3時間経過後の膜に対してナ '一を用いて評価した。 評価結果を表 2に示す。 実施例 4
50mlのフラスコ中、 テトラメ トキシシラン 11. 42 gとメチノレメトキシ シラン 3. 41 gの混合物に対して加水分解当量の 2倍量にあたる水 6. 75 g と 2規定の塩酸水 0. lm lを用いて加水分解し、 重量平均分子量 2250のシ リカ前駆体を得た。 なお、 重量平均分子量は、 G PCを用い、 ポリスチレン換算 による。
得られたシリ力前駆体溶液に、 表 1に示す長辑アルキル基含有トリアルコキシ シランと界面活性剤添加し、 さらに溶剤 (M I B ) で希釈して N V 20 %の溶 液を得た。
これを塗布液として用い、 実施例 1〜 3と同様な方法で熟成された焼成膜を得 た。 また、 実施例 1〜3と同様な方法で膜の評価を行った。 評価結果を表 2に示 す。 比較例 1
実'施例 1で得られたシリ力前駆体溶液を、 長鎖アルキル基含有トリアルコキシ シランと界面活性剤を添加することなく、 溶剤 (MI BK) で希釈して NV 20 %の溶液を得た。
これを塗布液として用い、 実施例 1〜 3と同様な方法で熟成された焼成膜を得 た。 また、 実施例 1〜 3と同様な方法で膜の評価を行った。 評価結果を表 2に示 す。
* OMeは、 QCH3を表す c
表 2
産業上の利用の可能性
本発明の組成物は保存安定性に優れ、 これを用いることによって、 多孔質で低 誘電率でありながら、 平坦で均一であると共に誘電率が小さく、 吸湿性が低く、 しかも機械的な強度も大きい半導体装置製造に用いるとき眉間絶縁膜として最適 な膜を形成することが可能になる。 また、 本発明の組成物から形成される多孔質 膜を多層配線の絶縁膜として使用することにより、 高性能かつ高信頼性を有する 半導体装置を実現することができる。