電子機器 技 術 分 野 この発明は、 2つの機器の一方から他方へ非接触で充電を行うことができる電子 機器、 または、 2つの機器間で一方向または双方向にデータ転送が可能な電子機 明
器に関し、 たとえば、 充電可能な 2次電池を電源とする電動歯ブラシ、 電動ひげ 田
そり、 コ一ドレス電話、 携帯電話、 P H S (Pe r s on a l Handy-phone Sys t em ;簡 易型携帯電話システム) 、 モパイルパソコン、 小型情報機器、 電子時計等の機器 と、 これに非接触で充電を行う機器とを有する電子機器に関する。 技 術 背 景 近年、 携帯端末や電子時計などのような小型携帯電子機器をステーションと呼 ばれる充電機器に収容して、 当該携帯電子機器への充電とともに、 当該携帯電子 機器との信号転送などが行われつつある。 ここで、 充電や信号転送などについて 電気的接点を介して行う構成にすると、 これら接点が露出するため、 防水性の面 において問題が発生する。 このため、 充電や信号転送などは、 ステーションと携 帯電子機器との双方に配設されたコィルの電磁的な結合によって非接触で行う構 成が望ましい。
このような構成において、ステ一ション側のコイルに高周波信号を印加すると、 外部磁界が発生して、 携帯電子機器側のコイルに誘起電圧が発生する。 そして、 この誘起電圧をダイォード等により整流することにより、 携帯電子機器に内蔵さ れた二次電池を非接触で充電することが可能となる。 また、 両者コイルの電磁的 な結合により、 ステーションから携帯電子機器へ、 あるいは、 携帯電子機器から ステ一ションへと信号を非接触で双方向に転送することも可能となる。
ところで、 ステーション側のコイルおよび携帯電子機器側のコイルには、 互い
に電磁的に結合することだけではなく、 充電や信号転送の効率を高めることも要 求される。
そこで、 従来では、 携帯電子機器がステーションに収容された場合に、 両コィ ルの卷回面が平行であって、 それらの中心が一致する位置関係を確保する構成と なっていた。
しかしながら、 携帯電子機器をステーションに収容するだけで、 両コイルを上 記位置関係とするのは、 例えば、 コイルがステーションあるいは携帯電子機器に 配設される精度などによって困難である。 このため、 本質的に、 両コイルが多少 位置ずれしても、 その影響を受けにくい構成が要求されている。
一方、 その他の背景技術として図 1 7に示す装置について説明する。 この装置 は、 充電可能な 2次電池と、 非接触で充電する充電器を有する電子機器の一例で あり、 例えば日本国実用新案登録公開公報 6 0 - 8 6 3 6に示されている。
図 1 7において、 5 1はスタンド、 5 2は電源プラグ、 5 3は歯ブラシの柄、 5 4は電源コード、 5 6は 2次電池、 L l 、 L 2は 1次コイル、 L 3は 2次コィ ル、 D l 、 D 2はダイオード、 T rはトランジスタ、 C l 、 C 2 、 C 3はコンデ ンサ、 R 1は抵抗を示す。 この装置は電動歯ブラシに適用した例であり、 スタン ド 5 1に充電部があり、 齒ブラシの柄 5 3に被充電部がある。 そして、 スタンド 5 1には、 トランスの 1次側コイル L 1 、 L 2、 トランジスタ T r、 抵抗 R 1 、 コンデンサ C 2 、 C 3で構成された高周波発振器 (自励発振回路) を備えており、 前記高周波発振回路から外部に電磁界を発生するように構成されている。
また、 歯ブラシの柄 5 3の充電部には、 前記充電部の 1次コイル L 1 、 L 2と 電磁結合して電庄誘起させるために、 トランスの 2次側コイル L 3を設けると共 に、 整流用のダイオード D 2 、 2次電池 (N i — C d電池) 5 6が設けてある。 この電動歯ブラシは、 歯ブラシの使用時には、 人が歯ブラシの柄 5 3を持って スタンド 5 1から取り出して使用するが、 使用しない時は、 歯ブラシをスタンド 5 1に立てて保管する。
この保管状態で、 充電部の 1次コイル L l 、 L 2と被充電部の 2次コイル L 3 が電磁結合するので、 被充電部の 2次コイル L 3には電圧が誘起する。 そして、 この誘起した電圧によりダイオード D 2を介して 2次電池 5 6が充電される。
図 1 7に示す電子機器においては、 次のような課題があった。
まず、 電動歯ブラシが水まわりで使用されることが前提となっているため、 ス タンド 5 1 と歯ブラシの柄 5 3は内部の回路部品が水で濡れることがないように、 例えばパッキンを介した防水構造となっている。 さらに、 水道の蛇口からの水圧 によっても防水構造が維持できるように、 それぞれを構成する部材には、 水圧に よる変形を押さえるための強度が必要となる。 このため、 歯ブラシの柄 5 3の外 側の榭脂部分の厚みと、 スタンド 5 1のハウジングを構成する樹脂部分の厚みが ある程度必要となり、 そのため、 1次、 及び 2次コイル間の距離が大きくなつて しまい、 電磁結合が弱まり、 充電用の 2次電池への充電電流が極端に小さくなつ てしまい、 充電用の 2次電池を短時間で急速充電できない。 ここで、 歯ブラシの 柄 5 3、 あるいはスタンド 5 1のハウジング材料をステンレス等の剛性の高い金 属材料とすると、 1次、 及び 2次コイル間の距離は小さくできるが、 導伝材であ る金属材料上に渦電流が発生し、 電磁結合を弱め、 結局充電用の 2次電池を短時 間で急速充電できない。 発明の開示 本発明は上述した背景の下になされたものであり、 その主たる目的には以下の ものがある。 第 1の目的は、 非接触充電において、 充電部から被充電部への電力 伝送効率を向上させることにより、 2次電池の急速充電を可能にすることにある。 また、 この発明の第 2の目的は、 非接触型データ転送器において、 データ送信 部からデ一夕受信部への転送効率を向上させることにより、 S / N比が高く信頼 性の高いデータ転送を可能とすることにある。
上記第 1、 第 2の目的を達成するため、 この発明においては、 第 1の機器と第 2の機器とが、 互いに対向する位置にそれぞれ配設されたコイルの電磁的な結合 により電力転送あるいは信号転送する電子機器であって、 前記第 1の機器に配設 された第 1のコイル、 あるいは、 前記第 2の機器に配設された第 2のコイルのい ずれか一方の内径が、 他方のコイルの内径よりも 1 mm以上大きくなるようにし ている。
また、 この発明の他の構成にあっては、 第 1の機器と第 2の機器とが、 互いに 対向する位置にそれぞれ配設されたコイルの電磁的な結合により電力転送あるい は信号転送する電子機器であって、 前記第 1および第 2のコイルの内径ノ外径の 比が、 ともに 0 . 3以上 0 . 7以下である場合において、 前記第 1の機器に配設 された第 1のコイル、 あるいは、 前記第 2の機器に配設された第 2のコイルのい ずれか一方の内径が、 他方のコイルの内径よりも 1 mm以上大きいことを特徴と している。
さらに、 他の構成にあっては、 第 1の機器と第 2の機器とが、 互いに対向する 位置にそれぞれ配設されたコイルの電磁的な結合により電力転送あるいは信号転 送する電子機器であって、 前記第 1のコイル外径ノ第 2のコイルの外径の比が 、 0 . 7以上 1 . 3以下である場合において、 前記第 1の機器に配設された第 1 のコイル、 あるいは、 前記第 2の機器に配設された第 2のコイルのいずれか一方 の内径が、 他方のコイルの内径よりも 1 mm以上大きいことを特徴としている。 くわえて、 他の構成にあっては、 第 1の機器と第 2の機器とが、 互いに対向す る位置にそれぞれ配設されたコイルの電磁的な結合により電力転送あるいは信号 転送する電子機器であって、 前記第 1および第 2のコイルの内径 Z外径の比が 、 ともに 0 . 3以上 0 . 7以下である場合、 かつ、 前記第 1のコイル外径/第 2 のコイルの外径の比が、 0 . 7以上 1 . 3以下である場合において、 前記第 1の 機器に配設された第 1のコイル、 あるいは、 前記第 2の機器に配設された第 2の コイルのいずれか一方の内径が、 他方のコイルの内径よりも 1 mm以上大きいこ とを特徴としている。
さらに、 他の構成にあっては、 充電機器と被充電機器とからなる電子機器であ つて、 前記充電機器は、 少なく とも、 前記被充電機器と対向する位置に配設され た第 1のコイルと、前記第 1のコイルに信号を供給する充電回路とを備える一方、 前記被充電機器は、 少なく とも、 前記充電機器と対向する位匱に配設された第 2 のコイルと、 前記第 2のコイルに誘起された信号を整流する整流回路と、 前記整 流手段により整流された信号で充電を行う蓄電回路とを備え、 前記第 1および第 2のコイルの内径 外径の比が、 ともに 0 . 3以上 0 . 7以下であり、 前記第 1 のコイル外径ノ第 2のコイルの外径の比が、 0 . 7以上 1 . 3以下であり、 前記
第 1あるいは第 2のコイルのいずれか一方の内径が、 他方のコイルの内径よりも 1 mm以上大きいことを特徴としている。
また、 他の構成にあっては、 第 1の機器と第 2の機器とからなる電子機器であ つて、 前記第 1の機器は、 少なくとも、 前記第 2の機器と対向する位置に配設さ れた第 1のコイルと、 前記第 1のコイルに誘起された信号を受信する受信回路と を備える一方、 前記第 2の機器は、 少なくとも、 前記第 1の機器と対向する位置 に配設された第 2のコイルと、 前記第 1の機器へ送信すべき信号を前記第 2のコ ィルに供給する送信回路とを備え、 前記第 1および第 2のコイルの内径/外径の 比が、 ともに 0 . 3以上 0 . 7以下であり、 前記第 1のコイル外径/第 2のコィ ルの外径の比が、 0 . 7以上 1 . 3以下であり、 前記第 1あるいは第 2のコイル のいずれか一方の内径が、 他方のコイルの内径よりも 1 mm以上大きいことを特 徴としている。
上述した各発明の構成によれば、 本発明は、 上述した事情に鑑みてなされたも のであり、 その目的とするところは、 携帯電子機器ゃステーションなどのように、 互いに分離した 2以上の機器間において、 互いに対向する位置にそれぞれ配設さ れたコイルとの電磁的な結合によってデ一夕転送あるいは電力転送を実行する場 合に、 両コイルの位置ずれの影響を受けにくい電子機器を提供することにある。 また、 この出願の他の発明は、 第 1、 第 2の目的を達成するために、 以下の装 置を提供する。
図 1 2はこの出願の他の発明の原理的構成を示す説明図である。 本発明は前記の 目的を達成するため、 充電部 1 と被充電部 2を分離して構成し、 前記充電部 1に は 1次コイル 3と発振回路 (高周波発振回路) 4を備え、 前記被充電部 2には、 充電時に前記発振回路の 1次コイル 3と電磁結合して電圧を誘起させるための 2 次コイル 5と、 前記 2次コイル 5に誘起した電圧により充電可能な 2次電池 6を 備えた非接触充電が可能な電子機器において、 前記充電部 1の 1次コイル 3の被 充電部 2に向かい合った部位に送信側カバーガラス 7を、 また、 前記被充電部 2 の 2次コイル 5の充電部 1に向かい合った部位に受信側カバ一ガラス 8を配して 構成した。
更に、 前記送信側カバーガラス 7及び受信側カバーガラス 8の内面側に、 前記
電子機器の外観を向上させるための蒸着面 9、 及び、 蒸着面 1 0をそれぞれ構成 した。 ここで、 蒸着面のかわりにめっき面、 あるいは印刷面、 あるいは塗装面、 あるいは箔面を構成するか、 ガラス部材に顔料をいれて色ガラスとしても同様の 効果がある。
前記構成により、 2次電池 6への充電を行う場合は、 被充電部を充電部の上に のせた状態で電源を投入する。 この充電状態では、 1次側コイル 3と 2次側コィ ル 5が向かい合う位置で配置されるので、 これらのコイルが、 卜ランスのコイル と同様に機能する。 すなわち、 1次コイル 3がトランスの 1次捲線で、 2次コィ ル 5がトランスの 2次捲線として機能する。
充電時に充電部 1の発振回路 4が所定の周波数で発振すると、 送信側コイル 3 と受信側コイル 5が電磁結合し、 送信側コイル 3で発生した磁束が受信側コイル 5に鎖交し、 受信側コイル 5に電圧が誘起する。
この誘起した電圧により、 2次電池 6を充電する。
前記のように、 1次コイル 3の被充電部 2に向かい合った部位に送信側カバー ガラス 7を、 また、 前記被充電部 2の 2次コイル 5の充電部 1に向かい合った部 位に受信側カバーガラス 8を配して構成することにより、 転送効率を劣化させる ことなく、 2次電池 6へ短時間荷大電流を流すことが可能となって、 効率の良い 急速充電ができる。
図面の簡単な説明
図 1は、 第 1実施形態にかかるステーションおよび電子時計の構成を示す平面 図である。
図 2は、 同ステーションおよび同電子時計の構成を示す断面図である。
図 3は、 同ステーションおよび同電子時計におけるコイルの構成を示す断面図 である。
図 4は、 同ステ一ションおよび同電子時計の電気的構成を示すプロック図であ る。
図 5は、 同ステ一ションおよび同電子時計の動作を説明するための夕イミング チヤ一トである。
図 6は、 同ステーションの受信回路の一例を示す回路図である。
図 7は、 同受信回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。 図 8は、 一次コイルおよび二次コイルとが同一である場合に、 コイルの内径 Z 外径の比と相互コンダクタンスとの特性について、 シミュレ一ションした結果を 示す図である。
図 9は、 一次コイルおよび二次コイルの外径の比と、 最大効率値と、 最小損失 量 Wcmi nとの各特性について、 シミュレーションした結果を示す図である。
図 1 0は、 一次コイルと二次コイルとが位置ずれした場合、 しない場合と 、 両コイルの内径が一致する場合、 しない場合とにおいて、 磁束密度の強度分布 ををシミュレ一ションした結果を示す図である。
図 1 1は、 一次コイルと二次コイルとが位置ずれした場合の影響を実測した結 果を示す図である。
図 1 2は、 第 2実施形態の原理説明図である。
図 1 3は、 同実形態における電動歯ブラシの説明図である。
図 1 4は、 同実形態における実測データ例 1である。
図 1 5は、 同実形態における実測デ一夕例 2である。
図 1 6は、 第 3実施形態における電子時計の説明図である。
図 1 7は、 従来例の説明図である。 発明を実施するための最良の形態
A . 第 1実施形態
以下、 第 1実施形態について説明する。 なお、 本実施形態にあっては、 充電機 器としてステーション、 被充電機器として電子時計を例にとって説明するが、 本 発明をこれらに限定する趣旨ではない。
<機械的構成 >
図 1は、 実施形態にかかるステーショ ンおよび電子時計の構成を示す平面図で ある。 この図に示すように、 電子時計 2 0 0は、 充電ゃデ一夕転送など行う場合 、 ステーション 1 0 0の凹部 1 0 1に収容される。 この凹部 1 0 1は、 電子時計 2 0 0の本体 2 0 1およびバンド 2 0 2よりも若干大きめな形状に形成されてい るため、 時計本体 2 0 1は、 ステーショ ン 1 0 0に対して位置決めされた状態で
収容される。
また、 ステーション 1 0 0には、 充電の開始を操作入力するための入力部 1 0 3とともに、 各種の表示を行うための表示部 1 0 4が設けられている。 なお、 本 実施形態にかかる電子時計 2 0 0は、 通常の使用状態ではユーザの腕に装着され て、 表示部 2 0 4において日付時刻等が表示されるのは言うまでもないが、 図示 しないセンサ等によって、 脈拍数や心拍数などの生体情報を一定時間毎に検出 · 記憶する構成となっている。
図 2は、 図 1 における A— A線の断面図である。 この図に示すように、 電子時 計の本体 2 0 1の下面裏蓋 2 1 2には、 データ転送や充電のための時計側コイル 2 1 0がカバ一ガラス 2 1 1を介して設けられている。 また、 時計本体 2 0 1に は、 二次電池 2 2 0や、 時計側コイル 2 1 0などと接続される回路基板 2 2 1が 設けられる。
—方、 ステーション 1 0 0の凹部 1 0 1にあって、 時計側コイル 2 1 0と対向 する位置には、 ステ一ション側コイル 1 1 0がカバ一ガラス 1 1 1を介して設け られている。 また、 ステーション 1 0 0には、 コイル 1 1 0、 入力部 1 0 3、 表 示部 1 0 4、 一次電源 (図示省略) などが接続された回路基板 1 2 1が設けられ ている。 なお、 ステ一ション側コイル 1 1 0と時計側コイル 2 1 0との詳細につ いては後述する。
このように、 電子時計 2 0 0がステ一ション 1 0 0に収容された状態において 、 ステ一ション側コイル 1 1 0 と、 時計側コイル 2 1 0とは、 カバ一ガラス 1 1 1 、 2 1 1により物理的には非接触であるが、 コイル巻回面が略平行なので電磁 的には結合した状態となる。
また、 ステーション側コイル 1 1 0および時計側コイル 2 1 0 とは、 それぞれ 時計機構部分の着磁を避ける理由や、 時計側の重量増加を避ける理由、 磁性金属 の露出を避ける理由などにより、 磁心を有さない空心型となっている。 したがつ て、 このようなことが問題とならない電子機器に適用する場合には、 磁心を有す るコイルを採用しても良い。 もっとも、 コイルに与える信号周波数が十分に高い のであれば、 空心型で十分である。
ここで、 本願発明者らは、 コイルの特性について各種シミュレートした。 そこ
で、 その結果について説明する。
まず、 図 8 ( b ) は、 同一長 (3m) の導線を用いて、 一次コイルおよび二次コ ィルとを同一とした場合に、 同図 (a ) に示すように巻回による内径 外径 (D i n/Dou t ) の比を変化させたときの相互ィンダク夕ンス Mの特性をシミュレート した結果である。 この図に示すように、 相互インダク夕ンス Mは、 内径/外径の 比がおおよそ 0. 3〜0. 7の範囲で高い値を示し、 0. 5で最大となることが判る。 次に、 図 9 ( b ) は、 一次コイルと二次コイルとの導線長の和を一定 (6m) と して、 同図 ( a ) に示すように両コイルの外径 (D 1 ZD 2 ) の比を変化させたと きの最大効率値 ri tnaxと、 20W伝送時の最小損失量 Wcro i nとの各特性をシミュレー h
した結果である。 この図に示すように、 一次コイルと二次コイルとの外径の比が 0. 7〜1. 3の範囲において、 7? maxは高い値を示し、 Wcm i nは小さい値を示す。 そし て、 一次コイルと二次コイルとの外径の比が 1. 0のとき、 すなわち等しいとき、 77 maxは最大となり、 Wcm i nは最小となる。
さらに、 本願発明者らは、 一次コイルの内径と二次コイルの内径とを同一にし た場合と、 一次コイルの内径を l mmだけ大きく した場合とにおいて、 両コイルの 平面的な中心位置が一致しているときと、 l mraだけずれたときとで、 磁束密度が どのような分布となるかについてシミュレートした。 この結果を図 1 0に示す。 この図に示すように、 コイルの内径が等しい場合に位置ずれすると、 磁束密度の 高い範囲が狭くなる。 これに対し、 内径が異なるコイルでは、 その内径差 (lmm ) 以内の位置ずれであれば、 磁束密度の高い範囲はほとんど変化しない。
このシミュレート結果は、 次のような実験でも裏付けられる。 すなわち、 本願 発明者らは、 一次コイルの内径と二次コイルの内径とを同一にした場合と、 一次 コイルの内径を 1關だけ大きく した場合とにおいて、 両コイルが中心に対して位 置ずれしたときに、 二次コイル側で得られる電流が、 どのように変化するかにつ いて実測した。 この実測結果を図 1 1に示す。 この図において、 横軸は、 両コィ ルの中心に対するずれ量 (mm) であり、 縦軸は、 ずれ量がゼロの場合における電 流値を 「 1」 とした相対値である。 この図に示すように、 内径が同一であるコィ ル同士では、 ずれ量が大きくなるにつれて二次側で得られる電流値は小さくなる
。 これに対し、 内径が異なるコイル同士では、 ずれ量が、 内径差 (1mm) 以内で あれば、 二次側で得られる電流値はほとんど変化しない。
そこで、 本実施形態では、 図 3に示すように、 ステーション側コイル 1 1 0の 内径を時計側コイル 2 1 0の内径よりも lmmだけ大きくして、 その内径差以内で の位置ずれの影響をほとんど受けないようにした。 さらに、 一次コイルとしての ステーション側コイル 1 1 0と、 二次コイルとしての時計側コイル 2 1 0との内 径をともに外径の約半分とするとともに、 その外径をともに略同一として、 充電 や信号転送の効率を高めることとした。
なお、 両コイルの内径差は、 コイルの取付精度や、 ステーション 1 0 0に対す る電子時計 2 0 0の収容精度などを考慮して、 実施形態の値以上、 すなわち、 l m m以上とするのが望ましいと考える。
<電気的構成 >
次に、 ステーション 1 0 0および電子時計 2 0 0の電気的構成について図 4を 参照して説明する。
まず、 ステーション 1 0 0側について説明する。 この図において、 発振回路 1 4 0は、 各部の動作を同期させるためのクロック信号 C L Kを出力するものであ る。 入力部 1 0 3は、 ユーザによって充電開始の操作がなされると、 1ショッ ト のパルス S T Rをカウンタ 1 5 0に供給するものである。 カウンタ 1 5 0は、 ス テ一ション 1 0 0側におけるコイルの接続を制御する回路であり、 パルス S T R の供給を受けると、 プリセッ ト値 nをクロック信号 C L Kでダウンカウントして 、 カウント動作中には、 Hレベルとなる信号 Tを出力する。 すなわち、 カウンタ 1 5 0の出力信号 Tは、 充電開始の操作からクロック信号 C L Kの n周期が経過 するまでの一定期間だけ、 Hレベルとなるように構成されている。 そして、 この 信号 Tは、 アンドゲート 1 5 2における一方の入力端に供給される。
一方、 ステーション側コイル 1 1 0の一方の端子は、 電源電圧 V c cにブルア ップされる一方、 その他方の端子 Dは、 トランジスタ 1 5 3のドレインに接続さ れる。 ここで、 トランジスタ 1 5 3のゲートは、 他方の入力端にクロック信号 C L Kの供給を受けるアンドゲート 1 5 3の出力と接続される一方、 トランジスタ 1 5 3のソースは接地されている。
したがって、 カウンタ 1 5 0の出力信号 Tが Hレベルとなった場合、 クロック 信号 C L Kがそのままアンドゲート 1 5 2の出力信号 S 1 となって、 そのレベル に応じてトランジスタ 1 5 3のドレイン一ソース間をスィツチングさせる構成と なっている。
また、 ステーション側コイル 1 1 0の端子 Dにおける信号 S 2は、 受信回路 1 5 4に供給される。 受信回路 1 5 4は、 信号 S 2についてクロック信号 C L Kを 用いて復調するものであり、 その復調結果を信号 S 3 として出力する。 なお、 受 信回路 1 5 4の構成については後述する。 処理回路 1 5 5は、 復調された信号 S 3に基づく処理を実行する回路であり、 本実施形態では、 例えば、 処理結果を表 示部 1 0 4に表示させるようになっている。
次に、 電子時計 2 0 0側について説明する。 時計側コイル 2 1 0の一方の端子 は、 ダイオード 2 4 5を介して二次電池 2 2 0の正側端子に接続される一方、 コ ィル 2 1 0の他方の端子は、 二次電池 2 2 0の負側端子に接続されている。 ここ で、 二次電池 2 2 0の電圧 V c cが、 電子時計 2 0 0における各部の電源として 用いられる構成となっている。
また、 制御回路 2 3 0は、 計時機能を備えて、 表示部 2 0 4に対して時刻表示 などを行わせる一方、 信号 W 1が誘起されていない場合に、 ステーション 1 0 0 へ送信すべきディジ夕ルデータ W 2を送信回路 2 5 0に供給するものである。 こ こで、 ステーション 1 0 0へ送信すべきデ一夕としては、 図示しないセンサ等に より計測された脈拍数や心拍数などの生体情報などが想定される。
送信回路 2 5 0は、 ステ一シヨン 1 0 0へ送信すべきデ一夕をシリアル化する とともに、 シリアルデータが Lレベルである期間において、 一定周波数の信号を バース卜したスィツチング信号を出力するものである。 送信回路 2 5 0によるス ィツチング信号は、 抵抗 2 5 1 を介してトランジスタ 2 5 2のベースに供給され る。 また、 同トランジスタのコレクタは、 二次電池 2 2 0の正側端子に接続され る一方、 同トランジスタのエミッ夕は、 コイル 2 1 0の一方の端子に接続されて いる。
したがって、 時計側コイル 2 1 0においては、 信号 W 2が誘起されている場合 には、 その信号が半波整流されて二次電池に充電される一方、 信号 W 2が誘起さ
れていない場合には、 ステージヨン 1 00へ送信すべきデータに応じたスィツチ ング信号が供給される構成となっている。
ここで、 ステ一シヨン 1 0 0の受信回路 1 54の構成について図 6を参照して 説明する。 なお、 図示の構成はあくまでも一例であって、 本来的に、 電子時計 2 00の送信回路 2 50における変調方式によって定められるものである。
まず、 ステーション側コイル 1 1 0における他方の端子 Dに誘起された信号 S 2は、 図 6に示すように、 インバー夕回路 1 54 1によってレベル反転される とともに波形整形されて、 発振回路 140 (図 4参照) のクロック信号 CLKと 同期する Dフリップフロップ 1 542、 1 543のリセッ ト信号 RSTとして供 給される。 ここで、 Dフリ ップフロップ 1 542の入力端 Dは、 電源電圧 V c c に接続される一方、 その出力端 Qは、 次段の Dフリ ップフロップ 1 543の入力 端 Dに接続される。 そして、 Dフリ ップフロップ 1 543の出力端 Qが、 復調結 果たる信号 S 3として出力される構成となっている。
次に、 上記構成の受信回路 1 54における各部の波形について検討してみる。 電子時計 200からのデータ受信時にあっては、 トランジスタ 1 53 (図 4参 照) がスイッチングしないので、 プルアップされたステーショ ン側コイル 1 1 0 における他方の端子 Dは、 時計側コイル 2 1 0による外部磁界が発生していなけ ればプルアップレベルとなる一方、 外部磁界が発生していれば、 それに応じて誘 起されるレベルにて変動する。 このため、 端子 Dに誘起される信号 S 2は、 例え ば、 図 7 (a) に示される通りとなる。
このような信号 S 2に対して、 インバー夕回路 1 54 1の出力たる信号 R S T は、 図 7 (b) に示されるように、 信号 S 2の電圧がしきい値 V t hを下回った ときに Hレベルとなり、 Dフリ ップフロップ 1 542、 1 543をリセッ トする 。 この際、 Dフリ ップフロップ 1 542、 1 543は、 クロック信号 C LKの立 ち上がりにおいて、 その直前での入力端 Dのレベルを出力するから、 Dフリ ップ フロップ 1 542の出力 Q l、 および、 Dフリップフロップ 1 542の出力 S 3 は、 それぞれ図 7 (d) 、 ( e ) に示されるようになる。 すなわち、 受信回路 1 54の出力信号 S 3は、 時計側コイル 2 1 0によって外部磁界が発生している期 間に Lレベルとなる信号となる。
ここで、 時計側コイル 2 1 0によって外部磁界が発生する期間とは、 電子時計 2 0 0がステ一シヨン 1 0 0へ送信すべきデータが Lレベルとなる期間であるか ら、 結局、 信号 S 3は、 電子時計 2 0 0からのデータを復調したものであること が判る。
<動作 >
次に、 本実施形態にかかるステ一ション 1 0 0および電子時計における充電動 作およびデータ転送動作について説明する。
まず、 ユーザは、 電子時計 2 0 0を、 ステーション 1 0 0の凹部 1 0 1に収容 させる。 これにより、 ステーション側コイル 1 1 0と、 時計側コイル 2 1 0 とは 、 図 2あるいは図 3に示されるように互いに対向するため、 電磁的に結合した状 態となる。
この後、 ユーザが、 ステーション 1 0 0の入力部 1 0 3を操作して、 充電を開 始する旨の入力操作を行うと、 図 5 ( a ) に示されるように、 タイミング t 1に おいて 1 ショッ トのパルス S T Rが入力部 1 0 3から出力される。 このため、 力 ゥンタ 1 5 0がカウント動作を開始するため、 図 5 ( b ) に示されるように信号 Tが Hレベルとなる。
信号 Tが Hレベルとなると、 アンドゲート 1 5 2が開くため、 トランジスタ 1 5 3が、 クロック信号 C L Kに応じてスイッチングする。 よって、 トランジスタ 1 5 3は、 図 5 ( c ) に示されるような波形でスイッチングするため、 ステ一シ ョン側コイル 1 1 0には、 電源電圧 V c cをクロック信号 C L Kでスィツチング したパルス信号が印加される。 このため、 外部磁界が発生することとなる。 この外部磁界によって、 時計側コイル 2 1 0には、 当該パルス信号と同周期の 信号 W 1が誘起される。 この誘起信号は、 ダイオード 2 4 5によって半波整流さ れて、 二次電池 2 2 0に充電されることとなる。
次に、 カウン夕 1 5 0において、 プリセッ ト値 nをクロック信号 C L Kでダウ ンカウントした結果が、 図 5 ( b ) に示されるタイミング t 2においてゼロにな ると、 信号 Tが Lレベルとなる。
信号 Tが Lレベルとなると、 アンドゲート 1 5 2が閉じるため、 トランジスタ 1 5 3が、 クロック信号 C L Kにかかわらずオフする。 このため、 時計側コイル
2 1 0では、 信号が誘起されなくなる。
このため、 二次電池 2 2 0の充電が終了する一方、 制御回路 2 3 0がステ一シ ヨン 1 0 0へ送信すべきディジ夕ルデータ W 2を送信回路 2 5 0に供給するため、 電子時計 2 0 0からステ一ション 1 0 0への信号送信が開始されることになる。 ここで、 ステーション 1 0 0への送信すべきデータが、 図 5 ( d ) に示される 通りであったとすると、 送信回路 2 5 0によるスイッチング信号は、 デ一夕が H レベルであれば出力を Hレベルとし、 デ一夕が Lレベルであれば一定周波数のパ ルス信号をバース トさせたものとするから、 トランジスタ 2 5 2は、 図 5 ( e ) に示されるような波形でスィツチングすることとなる。
したがって、 時計側コイル 2 1 0には、 ステーション 1 0 0への送信すべきデ —夕が Lレベルである期間において、 パルス信号が印加され、 これによつて外部 磁界が発生することとなる。
この外部磁界によって、 ステ一ション側コイル 1 1 0における他方の端子 Dに 、 当該パルス信号と同周期の信号 S 2が誘起されることとなる。 ここで、 信号が 誘起されている期間では、 上記構成の受信回路 1 5 4によって信号 S 3が Lレべ ルとなるから、 結局、 ステーション 1 0 0側では、 タイミング t 2以降において 、 電子時計 2 0 0からのディジ夕ルデ一夕 W 2を復調した信号 S 3が得られるこ ととなる。 そして、 ステーション 1 0 0側では、 処理回路 1 5 5が、 復調された 信号 S 3に基づく処理を実行して、 その処理結果が表示部 1 0 4に表示されるこ ととなる。
このように本実施形態においては、 ステーション側コイル 1 1 0の内径が時計 側コイル 2 1 0の内径よりも l mniだけ大きいので、 両者コイルの中心がその内径 差以内で位置ずれしたとしても、 電力転送の効率や信号転送の効率は、 極端には 低下しない。 さらに、 ステーション側コイル 1 1 0と時計側コイル 2 1 0とにお いて、 両コイルの内径はともに外径の約半分であり、 また、 両コイルの外径は互 いに略同一であるので、 充電や信号転送の効率が高い。
したがって、 本実施形態によれば、 コイル同士の電磁的な結合により電力転送 あるいは信号転送する場合に、 両コイルの位置ずれの影響が受け難く くなるとと もに、 データ転送あるいは電力転送の効率が維持されるのである。
さらに、 本実施形態では、 外部磁界を発生させることによって電子時計 2 0 0 の二次電池 2 2 0をタイミング t lから t 2までにおいて充電した後、 タイミン グ t 2以降においてデータ転送を実行するので、 電子時計 2 0 0が、 二次電池 2 2
0の電圧低下を理由にデー夕転送できない事態を防止することができる。
ぐ変形例 >
なお、 上記実施形態にあっては、 次のような変形が可能である。
実施形態にあっては、 位置ずれの影響を少なくすることと、 データ ' 電力転送 の効率維持とを両立するため、 ステーション側コイル 1 1 0の内径を時計側コィ ル 2 1 0の内径よりも l mmだけ大きくするとともに、 両コイルの内径を外径の約 半分とし、 さらに、 両コイルの外径を略同一としたが、 これらの要件を必ずしも すべて満たさなくても良い。 すなわち、 ステーション側コイル 1 1 0の内径を時 計側コイル 2 1 0の内径よりも limnだけ大きくするとともに、 両コイルの内径を 外径の約半分とするだけも十分であり、 また、 ステーション側コイル 1 1 0の内 径を時計側コイル 2 1 0の内径よりも lmmだけ大きくするとともに、 両コイルの 外径を略同一とするだけも十分である。
また、 データ · 電力転送の効率維持の観点から言えば、 必ずしも、 両コイルの 内径を外径の約半分とする必要はなく、 また、 両コイルの外径を略同一とする必 要もない。 すなわち、 図 8 ( b ) に示されるように、 ステーション側コイル 1 1 0および時計側コイル 2 1 0における内径/外径の比が、 ともに 0. 3〜0. 7の範囲 にあれば良いし、 また、 図 9 ( b ) に示されるように、 ステーション側コイル 1 1 0の外径/時計側コイル 2 1 0の外径の比が、 0. 7〜1. 3の範囲にあれば良い。 また、 実施形態にあっては、 デ一夕転送が、 電子時計 2 0 0からステーション 1 0 0への一方向のみであつたが、 ステーション 1 0 0から電子時計 2 0 0への 方向であっても良いのはもちろんである。 電子時計 2 0 0へデ一タ転送する場合 、 ステーション 1 0 0では、 転送すべきデータに応じて変調する一方、 電子時計 2 0 0では、 その変調方式に合わせて復調する構成とすれば良い。 この際、 変調 · 復調は、 公知の技術を適用すれば良い。
さらに、 実施形態にあっては、 ステーション側コイル 1 1 0の内径を、 時計側
コイル 2 1 0のそれよりも大きくする構成としたが、 これとは反対に、 時計側コ ィル 2 1 0の内径を大きくする構成であっても良い。
くわえて、 実施形態では、 充電機器としてステーション 1 00、 被充電機器と して電子時計 2 00を例にとって説明したが、 本願において、 これらの区別は、 第 1および第 2の機器の区別を含めて無意味であり、 電力転送や信号転送を行う すべての電子機器に適用可能である。 例えば、 電動歯ブラシや、 電動ひげ剃り、 コードレス電話、 携帯電話、 パーソナルハンディ フォン、 モパイルパソコン、 P D A (Personal Digital Assistants: 個人向情報端末) などの二次電池を傭え る被充電機器と充電機器とに適用可能であり、 さらに言うならば、 互いに分離し た 2以上の機器のすべてに適用可能である。
B. 第 2実施形態
以下、 第 2実施形態を図面に基いて説明する。 なお以下に説明する実施形態は、 本発明を被接触型充電式電動歯ブラシに適用した例である。
図 1 3 (a) は本発明の実施例である電動歯ブラシの説明図である。 また、 図 1 3 (b) は図 1 3 (a) の一部拡大図である。
1 1は充電スタンド、 1 2は充電スタンドハウジング、 1 3は電動歯ブラシ、 14は電動歯ブラシハウジング、 1 5は送信側プリント基板、 1 6は送信側コィ ル、 1 7は受信側プリ ント基板、 1 8は受信側コイル、 1 9は 2次電池、 2 0は 電動歯ブラシ設置部、 2 1は送信側カバ一ガラス、 2 2は送信側カバーガラス蒸 着面、 2 3は受信側カバ一ガラス、 24は受信側カバーガラス蒸着面を示す。 本実施例の非接触型充電式電動歯ブラシは、 電動歯ブラシ 1 3と充電スタンド 1 1で構成されている。 そして、 充電スタン ド 1 1には充電部が設けてあり、 電 動歯ブラシ 1 3には被充電部が設けてある。
前記充電ス夕ンド 1 1には充電スタンドハウジング 1 2が設けてあり、 この充 電スタンドハウジング 1 2内に充電部が設けてある。 電動歯ブラシ 1 3には電動 歯ブラシハウジング 1 4が設けてあり、 この電動歯ブラシハウジング 1 4内に被 充電部が設けてある。
また、 前記充電スタンドハウジング 1 2の一部に、 電動歯ブラシ 1 3を載せて
置くための電動齒ブラシ設置部 2 0が設けてある。 そして、 電動齒ブラシ 1 3を 使用する時は、 電動歯ブラシ設置部 2 0から電動歯ブラシ 1 3を取り出して使用 し、 それ以外の時は、 電動歯ブラシ 1 3を電動歯ブラシ設置部 2 0上に載せてお く ことにより、 非接触で充電を行うように構成されている。
前記充電スタンドハウジング 1 2内に設けた充電部には、 充電用の高周波発振 回路等の回路部品が設けてあるが、 これらの回路部品は、 送信側プリント基板 1 5上に搭載されている。 そして、 前記回路部品の内、 送信コイル 1 6は、 前記送 信側プリン卜基板上に搭載する。
この場合、 送信側コイル 1 6は、 電動歯ブラシ設置部 2 0と対向する位置で、 かつ前記電動歯ブラシ設置部 2 0に最も近い位置に配置する。
ここで、 前記充電スタンドハウジング 1 2上の送信側コイル 1 6 と受信側コィ ル 1 8に挟まれた位置に、 送信側コイル 1 6あるいは受信側コイル 1 8の平面サ ィズを覆うように、 送信側カバ一ガラス 2 2を配置する。 この、 送信側カバーガ ラス 2 2は充電スタンドハウジング 1 2上に例えば紫外線硬化型の接着剤で固定 する。
さらに、 送信側カバ一ガラス 2 2の送信側コイル 1 6側に向かい合う面に、 送 信側カバ一ガラス蒸着面 2 3を構成している。
前記電動歯ブラシハウジング 1 4内に設けた被充電部には、 充電回路等の回路 部品が設けてあるが、 これらの回路部品は、 受信側プリント基板 1 7上に搭載さ れている。 そして、 前記回路部品の内、 受信側コイル 1 8は、 前記受信側プリン ト基板 1 7上に搭載する。
この場合、 受信側コイル 1 8は、 電動歯ブラシ 1 3を電動歯ブラシ設置部 2 0 に載せた状態で、 電動歯ブラシ設置部 2 0に最も近い位匱となるように配置し、 かつ、 送信側コイル 1 6と対向するように位置決めして配置する。
ここで、 前記電動歯ブラシハウジング 1 4上の受信側コイル 1 8 と送信側コィ ル 1 6に挟まれた位置に、 受信側コイル 1 8あるいは送信側コイル 1 6の平面サ ィズを覆うように、 受信側カバ一ガラス 2 4を配置する。 この、 受信側カバ一ガ ラス 2 4は電動歯ブラシハウジング 1 4上に例えば紫外線硬化型の接着剤で固定 する。
さらに、 受信側カバ一ガラス 2 4の受信側コイル 1 8側に向かい合う面に、 受 信側カバ一ガラス蒸着面 2 5を構成している。
また、 2次電池 1 9は、 電動歯ブラシ 1 3を電動歯ブラシ設置部 2 0に載せた 状態で、 電動歯ブラシ設置部から遠い位置に配置している。
前記 2次電池としては、 例えば、 ニッケルカ ドミウム電池、 ニッケル水素電池、 リチウムイオン電池等が使用可能である。
ここで、 図 1 3 ( b ) に示したように、 充電時には、 受信側コイル 1 8と送信 側コイル 1 6の間には、 充電部スタンドハウジング 1 2と電動歯ブラシハウジン グ 1 4の厚み等が存在する。
図 1 4に、 この厚みと転送効率の実測デ一夕を示す。 図 1 4の実測データは横 軸が送信側コイルと受信側コイルの外周先端部の断面的な距離 d ( mm) を示し、 縦軸が、 送信側コイルと受信側コイルの断面距離 dを 5 mmとしたときの転送効 率を 1 としたときの相対的な転送効率が何倍かを示している。
図 1 4のデータによれば、 断面距離 dが減少するにしたがって、 転送効率は 2 次関数的に増加し、 高効率な転送が可能なシステムとなる。
特に距離 3 mm以下では転送効率が従来例の距離 5 mmに対して数 1 0 0倍と 非常に高い転送効率が実現でき、 高速充電に適している。
ここで、 コイル間距離が 3 m m程度となる構造で、 かつ 5気圧程度の水圧に耐 えられる防水構造をとるには、 ハウジング材料を金属部材等の高剛性材料で構成 する必要がある。 しかし、 電磁誘導による電力転送システムでは、 送信側コイル と受信側コイルの間のハウジング材料に導電部材を構成すると、 導電部材上に渦 電流が生じて、 転送劣化となり、 高効率転送には適していない。
図 1 5にハウジング材料と転送効率の実測データを示す。 図 1 5の実測データ は送信コイルと受信コイルの外周先端部の断面的な距離 dを 3 mmとして、 コィ ル間にハウジング材料を挿入し、 転送効率を測定した結果である。 横軸が外装ハ ウジングに用いる材料と、 その材料の厚み、 あるいは表面処理手段を示し、 縦軸 が厚み 1 mmのステンレス素材をコイル間に挿入したときの転送効率を 1 0 0 % としたときの相対的な転送効率 (%) を示している。
図 1 5のデ一夕によれば、 外装ハウジング材料に絶縁材料を用いれば、 転送効
率はステンレス材料を用いたときの数 1 0倍の高効率で転送が可能になる。
また、 絶縁材料の片面にアルミニウム等の金属蒸着を 1 程度構成しても、 渦電流による転送劣化は発生しないことがわかる。
ここで、 前記ガラス部材は一般的に透明であり、 内部のコイル、 電気素子類等 が外部から見える状態となり、 デザイン外観として芳しくない。 また電気素子類 等の紫外線等の光劣化も発生してしまう。 これらを解決するために、 前記ガラス 部材の裏側に蒸着面等を構成する。 また、 この蒸着面を構成するかわりに、 ガラ ス部材の裏側にめっき面、 あるいは印刷面、 あるいは塗装面、 あるいは箔面を構 成するか、 ガラス部材そのものに顔料をいれて色ガラスとしても同様の効果が期 待できる。
C . 第 3実施形態
図 1 6に本発明の第 3実施形態の原理図を示す。 なお、 以下に説明する実施例 は、 非接触型データ転送器をもつ電子時計である。
図 1 6 ( a ) は本発明の電子時計の構造図を示し、 3 1はデ一夕転送器、 3 5 は電子時計を示す。
図 1 6 ( b ) は本発明の電子時計の断面構造図を示し、 3 1はデータ転送器、 3 2は転送器側コイル、 3 3は送信側カバ一ガラス、 3 4は転送器回路基板、 3 5は電子時計、 3 6は電子時計側コイル、 3 7は電子時計裏篕、 3 8は電子時計 裏蓋カバ一ガラス、 3 9は 2次電池、 4 0は電子時計回路を示す。
図 1 6 ( c ) は本発明の電子時計の回路ブロック図を示している。
本実施例の非接触型データ転送式電子時計は、 データ転送器 3 1 と電子時計 3 5で構成されている。 そして、 デ一夕転送器 3 1にはデータ転送部が設けてあり、 電子時計 3 5にはデータ受信部が設けてある。
前記データ転送器 3 1の一部に、 電子時計 3 5を載せて置くための電子時計設 置部が設けてある。 そして、 電子時計にデ一夕を転送するときは、 電子時計 3 5 をデータ転送器 3 1上の電子時計設置部に設置するように構成されている。
前記データ転送器 3 1内に設けたデータ転送部には、 信号生成回路 4 1、 変調 回路 4 2、 駆動回路 4 3、 転送器側コイル 3 2、 設定回路 4 4、 検出回路 4 5等
の回路部品が設けてあるが、 これらの回路部品は、 転送器回路基板 3 4上に搭載 されている。 この場合、 転送器側コイル 3 2は、 電子時計設置部と対向する位置 で、 かつ前記電子時計設置部に最も近い位置に配置する。 ここで、 前記データ転 送器 3 1の電子時計設置部上に、 転送器側コイル 3 2と電子時計側コイル 3 6に 挟まれた位置に、 送信コイル 3 2と電子時計側コイル 3 6の平面サイズを覆うよ うに、 送信側カバーガラス 3 3を配置する。
前記電子時計 3 5内に設けたデータ受信部には、 電子時計側コイル 3 6、 復調 回路 4 6等の回路部品が設けてあるが、 これらの回路部品は、 モータ駆動回路 4 7、 ステップモータ 4 8、 電子時計の指針 4 9とともに電子時計回路 4 0上に搭 載されている。 この場合、 電子時計側コイル 3 6は、 電子時計 3 5をデータ転送 器 3 1の電子時計設置部に設置した状態で、 電子時計設置部と対向する位置で、 かつ前記電子時計設置部に最も近い位置に配置する。 ここで、 前記電子時計 3 5 の電子時計裏蓋 3 7上に、 転送器側コイル 3 2と電子時計側コイル 3 6に挟まれ た位置に、 転送器側コイル 3 2と電子時計側コイル 3 6の平面サイズを覆うよう に、 電子時計裏蓋カバーガラス 3 8を配置する。
また、 2次電池 3 9は電子時計 3 5をデータ転送器 3 1上の電子時計設置部に 載せた状態で、 電子時計設置部から遠い位置に配置している。
ここでデータ転送の一例として、 例えば電子時計の時刻修正の動作原理を図 1 6 ( b ) 、 及び、 図 1 6 ( c ) に基いて説明する。
データ転送器 3 1上において、 時刻修正に必要な時刻データを入力すると、 設 定回路 4 4が作動し、 この設定状態を検出回路 4 5が検出して、 この検出情報を もとに変調回路 4 2を動作させる。 また、 4 1は信号生成回路で、 この出力信号 をもとに変調回路 4 2で変調して、 駆動回路 4 3により転送器側コイル 3 2が駆 動される。 転送器側コイル 3 2から変調信号が出力され、 変調信号は磁界の変化 という形でアナログ腕時計等の電子時計側コイル 3 6に伝送される。 電子時計側 コイル 3 6には電磁誘導によって誘起電圧が発生して、 復調回路 4 6によって受 信信号のパルス幅を検出して、 そのパルス幅に基いて、 モー夕駆動回路 4 7を制 御することによりステップモータ 4 8を正転、 逆転、 停止を行う。 以上の動作に より指針 4 9が回転し時刻修正が可能となる。
ここで、 転送器側コイル 3 2から電子時計側コイル 3 6に、 電磁誘導によって デ一夕転送する際に、 本発明の構造を用いることにより転送効率を向上させ、 よ り低電力で S / N比の高いデータ転送が可能となる。
以上説明したように、 第 2、 第 3実施形態によれば次のような効果がある。
( 1 ) 分離した電子機器間で、 電磁誘導、 あるいは電磁結合により、 非接触で信 号転送、 あるいは電力転送を行うために、 双方の対向した位置に、 それぞれコィ ルを少なく とも 1個構成した装置において、 双方のコイルの少なく とも一方のコ ィルの、 他方のコイルに対向した外周部に、 ガラス部材を配置することにより、 充電部から被充電部への電力伝送効率を向上させることができ、 2次電池への急 速な充電が可能になる。 また、 低電力で S Z N比が高い信号転送も可能となる。
( 2 ) 1次コイルと 2次コイルの向かい合う面に剛性の高いガラスを配すること により、 小型で防水が可能な電子機器が実現できる。
( 3 ) 上述した第 2, 第 3の実施形態においては、 ガラス部材を固定する部分 (例 えば、 図 1 3の電子時計裏篕 3 7 ) を金属で構成するが、 金属部材はガラス部材 を固定する部分 (例えば、 ガラス部材の周囲) だけでもよい。
D . 変形例
( 1 ) なお、 第 1実施形態においては、 図 2に示すように下面裏蓋 2 1 2 (—般 に金属) とカバ一ガラス 2 1 1が設けられ、 時計側コイル 2 1 0と対向する位置 には、 ステーション側コイル 1 1 0がカバ一ガラス 1 1 1 を介して設けられてい る。
つまり、 時計側コイル 2 1 0 (一方のコイル) のステーション側コイル 1 1 0 (他方のコイル) に対向した外周部には、 絶縁材料と金属材料が組み合わされた 部材が取り付けられており、 第 2、 第 3の実施例と同様の効果も併せて得られる ようになっている。
このように、 第 1、 第 2のコイルのいずれか一方の内径が、 他方のコイルの内 径よりも 1 m m以上大きくする技術と、 第 1、 第 2のコイルが対向する部分に絶 縁体 (例えばガラス) を配置する技術とは組み合わせが可能であり、 この組み合 わせによって以下の効果が得られる。
まず、 コイル対向部分に絶縁体を配置することにより、 防水性、 剛性を維持し ながらある程度の小型化が可能となる。 一方、 コイルの位置ずれがあると電磁結 合に影響が出るため高い組立精度が要求され、 また充電 通信時の位置合わせ機 構も必要になるが、 一方のコイルの内径を他方のコイルの内径より 1 mm以上大 きくすることにより、 この不都合が解消される。 したがって、 組立精度が要求さ れず電子機器の構造の簡略化が図れ組立性を向上させることができる。 しかも、 小型化も可能になる。 そして、 多少の位置ずれがあっても高効率で安定的にパヮ 一転送が可能となるので、 充電/通信時の発信パワーを抑えることができる。 なお、 第 1実施形態においては、 カバーガラス 2 1 1, 1 1 1を他の絶縁体に してもよく、 あるいは、 金属を用いてもよい。 金属を用いた場合は、 電磁結合の 効率は下がるが、それが問題にならない状況においては金属の使用が可能である。 このように、 金属を用いる場合においても、 一方のコイルの内径を他方のコイル の内径より 1 mm以上大きくすることにより得られる効果は、 第 1実施形態と同 様である。
( 2 ) また、 第 2、 第 3実施形態において、 充電時あるいは通信時において対向 配置されるコイルの一方の内径を、他方の内径より 1つ m以上大きくしてもよい。 この場合においては、 第 1実施形態における効果を併せて奏することができる。